転職にはただでさえストレスがかかりますが、新しい職場でうまくいかなかった場合は、精神的な負担がさらに大きくなります。
無理をして仕事を続けた結果、うつ病を発症して日常生活に支障をきたしてしまう人も多いようです。
本記事では、転職に失敗してうつ病になりやすい人の特徴や、その対処法について解説します。
- 転職失敗でうつ病になる原因
- 転職失敗でうつ病になりやすい人の特徴
- 転職失敗でうつ病の疑いがある時の対処法
【事実】転職で失敗する人は意外と多い
転職で失敗すると悲観的になってしまいますが、実は転職の失敗は珍しいことではありません。
厚生労働省が転職者を対象に行った調査では、転職の満足度について「不満」「やや不満」と答えた人は全体の11.4%、「どちらでもない」が34.5%、「満足」「やや満足」が53.4%という結果になりました。
また、同調査では「仕事内容」や「賃金」、「労働時間」など細かい項目別でも満足度を調査しています。
その結果、「賃金」に関しては特に「不満」「やや不満」の割合が高いこと分かりました。
これらの結果を見ると、転職では多くの人が何らかの不満を抱えていたり、満足ではないけど折り合いをつけていたりするのが実態のようです。
項目 | 「満足」 「やや満足」 | どちらでもない | 「やや不満」 「不満」 |
仕事内容 | 69.2% | 21.3% | 8.7% |
賃金 | 46.6% | 25.5% | 27.1% |
労働時間 | 62.3% | 20.7% | 16.3% |
福利厚生 | 53.2% | 35.2% | 10.7% |
人間関係 | 59.7% | 25.3% | 14.2% |
転職失敗してうつ寸前な人のリアルな声
SNS上では、実際に転職に失敗した人たちから次のような声があがっています。
ここ数日の冷奴さん ・転職失敗。初日に全身にダメージを負い、2日ほどまともに動けず退職 ・なんとか日常生活ができるくらいに回復したものの、仕事を失うことにより先行きが不安に ・なんとかなってくれの精神でハロワに通いはじめる
引用:Twitter
転職してたった半年で、、適応障害と中等度の鬱と診断されてしまいました。 3ヶ月前から頭痛や目眩、睡眠異常があって、それでも頑張ってましたが、 体調は悪化するばかりで 数週間前から突然涙が出たり、仕事をする気力がなくなっていました。 それが甘えなのか判断してほしくて心療内科へ行きました
引用:Twitter
3ヶ月ぶりにTwitter開いた…笑 1年前にうつ発症、最近になって特発性過眠症と判明。 1年の間に転職4回、100万円の借金とないお金。 この年でボロボロなんよ まずは日常生活を人並みにこなす、1年以上同じ職場で働く。これを目標に。 これができたらwebライターについて基礎から学び直そう。
引用:Twitter
転職に失敗した場合、早い人で数日~数ヶ月で心身の不調を感じるようです。
多くの人が睡眠に問題を抱え、日常生活に支障をきたしていることが分かります。
新しい仕事がつらくても、自分さえ頑張れば何とかなると考えて無理をしてしまうこともあるようです。
体調のことだけを考えればすぐに転職すべきかもしれませんが、実際は収入の問題もあり即決できない人もいるでしょう。
退職後に収入が無い状態で焦ってしまい、慌てて転職した結果また失敗する…という悪循環に陥ると、抜け出すのは難しくなります。
何をするにも心身の健康が第一ですから、うつ病のような症状が悪化する前に対処することが大切です。
転職の失敗でうつ病を発症する原因
転職に失敗してうつ病を発症する原因には、次のようなものがあります。
イメージした条件や仕事内容とのギャップ
イメージした条件や仕事内容が実際と違ったために、うつ病を発症することがあります。
転職する際、多くの人が前職で退職理由となった点(長時間労働や賃金など)については、慎重にリサーチすることでしょう。
しかし、退職の原因となった点以外をよく調べていなかったり、当然に前職と同じ待遇が受けられると思い込んでいたりすると、入社後に思わぬギャップを感じることになります。
人間関係の変化
職場の人間関係は、快適に働くうえで最も大事な要素の1つです。
転職してすぐは周りが知らない人ばかりで気を遣いますし、気難しい人の地雷を踏んでしまうなど失敗をすることもあります。
また、企業によって社員同士や上司との距離感もさまざまですから、今までのやり方が通用せずに戸惑うことも多いものです。
人間関係が良好な職場であればまだ良いのですが、そうでない場合は本質的な業務以外の部分でも悩みが増えてしまいます。
不慣れな職場・仕事内容
転職すると、慣れない環境で仕事を一から覚えなければなりません。
取引先の名前やシステムの使い方など、些細なことも1つ1つ聞いたり調べたりしなければ前に進めないため、時間もかかります。
前職で長く勤めていた人や、ある程度の立場で活躍していた人は特に、自分のスキル不足やくだらない失敗が受け入れられず、落ち込みやすいものです。
生活リズム・環境の変化
転職による生活リズムや環境の変化は、うつ病を発症する原因になることがあります。
例えば新しい仕事に深夜残業や夜勤がある場合や、通勤時間が大幅に増える場合などです。
いずれも睡眠時間やプライベートの時間が削られることになり、気づかないうちに心身の疲労が蓄積しやすくなります。
また、前職では管理職だったのに転職先では年下の上司に指示される立場になった場合など、環境が変化することもストレスの原因になりやすいです。
転職の失敗でうつ病になりやすい人の特徴
転職に失敗したからといって、みんながうつ病になるわけではありません。
うつ病になりやすい人には、次のような特徴があります。
受け身で転職した人
転職の際「家族に急かされたから」「たまたま応募して受かったから」といった受け身の姿勢で決めてしまった人は、失敗したときにうつ病になりやすい傾向にあります。
誰かの意見やその場の状況に流されて転職した場合、仕事内容や環境が合わなくても「辞めたら家族を悲しませる」「せっかく採用してくれたのに迷惑をかける」などと考えてしまい、適切な判断がしにくくなるためです。
ネガティブな理由で転職した人
ネガティブな理由で転職した人も、失敗したときにうつ病を発症しやすくなります。
前職を辞めるときに「苦しい状況からとにかく早く逃れたい」と思っていた人もいるでしょう。
しかし、そこで冷静に問題点や改善点を分析しておかないと、次の職場でも同じ失敗を繰り返す可能性があります。
ネガティブな理由で転職した人は、根本的な問題と向き合ってから転職することが大切です。
実力以上のハードな環境へ転職した人
収入アップやスキルアップのために転職した人の中には、実力以上の環境で心を病んでしまう人もいます。
基本的に報酬と求められる能力は比例していますから、報酬が増えるということは仕事量が増え、求められるレベルも高くなるということです。
実力以上の転職をすると、周りの人が高学歴で華やかな経歴の持ち主であることが多いため、気後れしてしまうことがあります。
変にプライドや競争意識が強い人
プライドが高い人や、競争意識が強い人は転職の失敗でうつ病になりやすいと言えます。
前職の功績にこだわってしまったり、同期にライバル意識を燃やしてしまったりすると、新しい環境で素直に教われません。
また、仕事に慣れるまでは失敗がつきものですが、自分を過大評価しているため失敗を受け入れられず、空回りする原因にもなってしまいます。
転職の失敗によるうつの症状チェックリスト
うつ病の代表的な症状には、次のようなものがあります。
常に憂鬱・全くやる気が起きない
常に憂鬱で、やる気が起きない状態が続く人はうつの可能性があります。
特に、仕事に対するやる気だけでなく、今まで好きだった趣味などに対してもやる気が起きなくなったり、楽しめなくなったりしている場合は赤信号です。
健康な状態なら、好きなことでリフレッシュして心のバランスを保てますが、それさえもできないということは、心が相当疲れてしまっていると考えられます。
うまく笑えない
うつ病になるとネガティブな感情が強くなり、反対に「快」や「喜び」といったポジティブな感情を感じにくくなります。
このような状態でも、職場など人前では普段通りを装って、表面上の笑顔は作れてしまうのが特徴です。
しかし、本当に心の底から「面白い」「楽しい」と感じるためにはリラックスした状態が必要なため、過度なストレスを抱えた状態ではうまく笑えなくなってしまいます。
動悸・めまい
うつ病になると、動悸やめまいが起きることもあります。
特に軽度のうつ病では心の症状に気づきにくく、このような身体の症状で初めて異常を自覚する人も多いようです。
内科の病気などを疑ってさまざまな検査をしたものの異常が見つからず、結果的に心の病気だったというケースもあります。
症状は動悸やめまいの他にも、耳鳴り、頭痛、息苦しさなどさまざまな形で現れるのが特徴です。
眠れない・睡眠が浅い
心のバランスが崩れると、眠れなくなったり、睡眠が浅くなったりする人も多いです。
また、夜間の睡眠の質が悪いために朝起きられなくなる、日中に眠くなってしまう、集中力が低下してしまう、といった症状が出ることもあります。
眠れないからといって夜中に考え事をしてしまうと、どうしてもネガティブ思考になりやすいため、より一層自分を追い詰めることになりかねません。
食欲がわかない
うつ病を発症すると、食欲がわかなくなることがあります。
実際にうつ病と診断された人の中でも、味覚異常を起こして「何を食べても味がしない」「好きだったものも食べたいと思わない」と訴える人が多いようです。
また、これとは反対に暴飲暴食やアルコールの過剰摂取など、食べ過ぎ・飲み過ぎという形で症状が現れる人もいます。
>>体が持たないから仕事を辞めたい…退職すべき理由と起こりうるリスクとは?
転職失敗でうつ病かもと感じたら取るべき行動
転職に失敗して、上記のような症状からうつ病かもしれないと感じた場合は、次のような行動を取りましょう。
無理せず休養を取る
転職に失敗してつらい状況のときは、無理せず休養を取りましょう。
肉体的・精神的に追い詰められた状態では正常な判断ができず、どんどん深みにはまってしまう可能性があります。
心身ともに健康な状態で、冷静に今後のことを考えるためにも、一度仕事と距離をとることは大切です。
休養を取るときはできればゴロゴロ寝るだけではなく、好きなことをしたり、親しい人に会ったりして気分転換をしましょう。
すぐに病院で診察してもらう
うつの疑いがある症状が現れたら、早めに病院で診察してもらいましょう。
「ただの疲れ」「まだ大丈夫」と自己判断した結果、ある日突然布団から出られない状態になってしまった人もいます。
心療内科や精神科に抵抗がある人もいるかもしれませんが、専門家に見てもらうことが健康になるための一番の近道です。
歯が痛いときは歯医者に行くのと同じように、心の不調を感じたら心療内科や精神科を受診しましょう。
家族や友達など信頼できる人に相談する
転職に失敗してつらいときは、家族や友達など信頼できる人に相談するのも有効です。
相談することで、あなたが今抱える悩みについて違った視点から解決のヒントをもらえるかもしれません。
自分一人で考えると「自分が悪い」「なんとかしなければ」と思いがちですが、人から「あなたのせいではない」「会社がおかしい」といった客観的な意見をもらえることもあります。
厚生労働省の相談窓口へ相談する
転職の失敗やうつ病に関する相談となると、家族や身近な人にはかえって話しにくいこともあります。
そんな時は厚生労働省の相談窓口を利用するのも1つの方法です。
相談内容ごとに「職場のトラブル」や「働く人の悩み」、「ハラスメント」、「こころの健康」などさまざまな窓口が用意されており、無料で相談できます。
電話以外にLINEなどを利用できるところもあるので、チェックしてみて下さい。
厚生労働省 相談窓口「こころの耳」
https://kokoro.mhlw.go.jp/agency/ – anc3
すでにうつ病寸前なら休職・退職もあり
現時点ですでに限界だと感じている人は、一刻も早く休職か退職をすべきです。まずは人事などに相談して休職をし、心身を回復させてから今後のことを考えましょう。
ただし、明らかに「今の職場で続ける」という選択肢がない場合は、退職するのも手です。
言い出しにくい場合や、引き止められて断り切れない場合には、退職代行というサービスがあります。
退職代行ガーディアンは、「東京労働経済組合(TRK)」という合同労働組合が運営しています。法律に則って交渉できるため確実に退職が可能で、これまでの依頼で退職できなかったことは一件もありません。
家族や次の転職先に知らせないよう対応してもらうことも可能なので安心です。
まとめ:転職失敗でうつ病になる前に信頼できる人へ相談しよう!
転職に失敗するのはつらいことですが、転職経験者の10人に1人以上が経験しています。
うつ病になる前に信頼できる人に相談し、自分の考えを整理したり、客観的な意見をもらったりするようにしましょう。
休職や退職をすることは勇気のいることですが、心身の不調を感じたら自分の身を守ることが最優先です。
また、再転職を希望する場合には、失敗を避けるためにもエージェントの利用を検討してみて下さい。
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