市役所職員って楽ですかね?興味があります。
業務内容や選考過程をチェックしておくといいよ。
「大倒産時代」(*1) などと謳われ、経済が目まぐるしく変化するこの時代において、安定を求めて地方公務員になることを希望する学生が多くいます。公務員になるためには、一般企業と異なった就活の仕方をしなければなりません。
今回は、市役所職員に焦点をあて、役所での仕事と志望理由の決め方をご紹介します。
*1 「大倒産時代」が今秋から始まるといえる、これだけの理由
市役所での仕事
役所には、市民の生活を多角的に守るために様々な部署があります。
- 観光客を増やして地域活性化を測る観光課や広報課
- 安定した税収を目指す税務課
- ライフラインの整備をする下水道課
- 学校の運営や管理をする教育委員会
- それらを管轄する総務課 など
市役所の仕事は多岐に渡っています。
市役所とジョブローテーション
市役所職員は3~5年の期間で、次々と部署を異動します。これをジョブローテーションと呼びます。
これにより、市民の必要な書類を発行したり、質問に答える窓口業務から、税金滞納者や生活保護受給者のお宅へ訪問するなど、全く異なった業務に携われるのです。
反対に、何か一つの業務に特化することがないので、何かのスペシャリストになることが難しいのが欠点です。
気をつけたいのが、志望理由の書き方です。
「この街に来る観光客を1万人にしたいです」と限られた部署にだけ当てはまる熱い想いを伝えても、「部署を移動したらそんなことできないよ」と足をすくわれてしまいます。
志望理由を決定する前に、ジョブローテーションについて考慮して自治体を研究しなければならないんだ。
市役所職員の選考過程
大卒の方は、地方公務員である市役所職員になるために、公務員試験を受験しなければなりません。
公務員試験の中には、教養試験、専門試験、人物試験、論文試験、面接試験などがあります。
教養試験
教養試験では以下の5種類の科目が課せられます。
- 文章理解ー現代文、英文、古文
- 数的処理ー数的推理、判断推理、資料解釈
- 自然科学ー数学、物理、化学、生物、地学
- 人文科学ー日本史、世界史、地理、思想、文芸
- 社会科学ー政治、経済、社会
国語、数学、理科、社会を満遍なく復習しておく必要があります。
専門試験
専門試験は理系職種と文系職種で内容が違います。
- 理系職種ー建築、電気、機械 など
- 文系職種ー行政、法律、経済 など
科目数が30程度と試験科目がとても多いのが特徴です。
一年間、試験勉強に没頭するか、試験科目の取捨選択をしなければなりません。たくさんの準備期間を設けて、正しい情報源を持つことが大切です。
筆記試験に合格後、面接を経て内定受諾という流れになります。
難しい筆記試験のため、面接にこぎつけるまでに多くの学生が足切りされてしまう事実があります。そのため、従来では、筆記試験をパスすれば内定を貰えるのが確実でした。しかし、現在は、人物試験や面接試験を重要視する傾向にあります。
筆記試験のための勉強のほか、志望動機を強く持たなければなりませんね。
市役所職員の3つの大きな魅力
市役所職員のお仕事には、以下のような特長があります。
様々な業務に携われる
上でも述べましたが、ジョブローテーションにより、幅広いジャンルの業務に携わることができます。短い期間で様々な業務をこなすので、市役所職員という同じ職業でありながら、様々な業務を経験するマルチプレイヤーになることができます。
仕事の規模が大きい
人口が多く、経済力を持った市町村であれば、一般的な企業で働くよりも、規模の大きい仕事を遂行できます。
自分の街をよりよくできる
自分が生まれ育ち、愛着を持った市町村に貢献することで、自分自身や家族、近所の人々などの生活をよりよくすることができます。
市役所職員に適している人
では、どんな素質を持った人が市役所職員に向いていると言えるのでしょうか。
適応力のある人
アルバイトでも、例えばテレアポと飲食店など、全く異なった業務でもすぐにこなせるタイプの人がいます。ジョブローテーションによって、観光から福祉など、多岐に渡る業務に携わることになるので、いろんなことに適応できる柔軟な人が向いています。
難しいことに立ち向かえる人
市役所職員の仕事は受動的で楽そうに思われていることがありますが、実際は違います。ほとんどの自治体は少子高齢化、そして若者の都市への流入で財政難を抱えています。
少ない収入でどのようにまちづくりをしていくか、という困難な課題に立ち向かう体力が必要だよ。
人のために献身的になれる人
市役所職員が定時通りに帰宅できるのは、通常時だけです。災害が起これば、市町村の復興のために身を粉にして働かなければなりません。
自分や自分の家族の心配だけでなく、その他大勢いる市民のために最善の策を考えることができる慈愛に満ちた精神が必要ですね。
志望動機の書く際のポイント
ここまで、市役所職員の仕事、公務員試験、仕事の魅力と、向いている素質を述べてきました。
それを踏まえて、志望理由を書くときのポイントを紹介します。
なぜその市町村なのか
たくさんの市町村がある中で、なぜその市町村でなければならなかったのでしょうか。他の市町村と比較をして、そこでしかできないことや、改善しなければいけない問題、財政など、その市町村の特徴を考えてみましょう。
特に、生まれ育った市町村以外を希望する場合は、相手が納得できるような志望理由が必要ですね。
具体的にどう貢献したいのか
「地域貢献」というワードは使い古されており、しかも言葉の意味に具体性がないのが問題点です。そのような曖昧な表現を避け、どのような貢献をしたいのか、具体性を持たせた志望理由にしましょう。
例えば、「高齢者の住みやすい地域にしたい」「子供が安全に暮らせる街にしたい」などだよ。
市役所職員って楽じゃない!
市役所職員になるためには、難しい試験や強い志望理由を用意しなければなりません。職員になった後も、少子高齢化や財政難など様々な社会問題と戦いながら、まちづくりをしていかなければなりません。
このような事実を知った後、市役所職員の仕事が楽だとは決して言えないはずです。ですが、損得勘定なしに住人の生活をよりよくするという大きなやりがいのある素敵な職業です。
一緒にまちづくりをしたいと思っていただけるような志望理由を持って、自信を持って試験に臨みましょう!