退職する際に、出しておきたいのが「挨拶状」です。
「挨拶状」とは、退職が決まったときに、社内外でお世話になった人たちに「退職する」ことを知らせるお礼状のことです。
もしかしたら今後も何かの機会でお世話になることもあるでしょう。そのときのために、あなたが退職することを「挨拶状」できちんと知らせておくのがベストです。
日頃から仕事で懇意にしてくれた社外の人や、親しくしていた人にはもちろんのこと、名刺交換しただけの人、今は連絡をとっておらず疎遠になっている人にもきちんと出しておくことで、付き合いが復活するかもしれませんし、今後の新たな人脈が広がるかもしれません。
付き合いのあったすべての人に対して挨拶状を出しておきましょう。それが今後のあなたの「人的資産」となるかもしれません。
今回の記事では、「退職する際の挨拶状の書き方」と「挨拶状を書くときのポイント」をまとめました。
退職挨拶状を出さないのはNG?
退職挨拶状を出さないのは問題ではありません。リクナビNEXTの調査によると、転職経験者に退職挨拶状を出した経験のある方は、約21.5%との結果でした。70.4%の方が退職挨拶状を出したことがないと回答しています。
引用:転職の挨拶状って出した?いつ・どんな内容で送ればいいの?|リクナビNEXT
退職挨拶状の提出の有無は、社内の関係性や状況、企業文化によって異なります。社風や職場のルールに従って退職挨拶状を記載するか検討しましょう。
退職挨拶状を送るメリット
退職挨拶状にはお礼を伝える方が多いです。なかにはお詫びを記載して提出する方もいます。どちらの理由にせよ、社内の上司や同僚に良い印象を与えて退職できるメリットがあります。
そのため退職後も良好な関係を維持することが可能です。退職挨拶状は、人間関係を構築していく意味で利用している方が多い傾向にあります。
退職挨拶状を出す時期は?
退職挨拶状を出す時期は、退職1ヶ月前が目安です。しかし職種や自身の引き継ぎの状況によっては1ヶ月前は忙しくなることもあるでしょう。
社内のルールで退職挨拶状を早く出すことに問題がない場合は、約3ヶ月前に提出してください。あまりにも遅いと逆に悪印象を持たれるので、出来る限り早めに出すのをおすすめします。
退職挨拶状は誰に出す?
退職挨拶状は社内外の方に提出する書類です。個人的にお世話になった方や同僚、クライアントに提出します。
丁寧な方は、上司の友人や親族までにも提出する方もいます。退職挨拶状は事前に誰に出すか決めておきましょう。
挨拶状の書き方
挨拶状の書き方のポイントは以下の通りです。例文とあわせてチェックしておきましょう。
挨拶状を書く際のポイント
挨拶状は、遅くとも退職する1週間前までには送るのがベストですが、退職直前はバタバタして忙しいため、退職前から文面や発送先リストなどを早めに準備しておきましょう。
挨拶状は「退職届(退職願)」と同じように形式的なものなので、以下のポイントを押さえて書いていけば問題ありません。
- できればメールではなく、なるべくハガキで郵送する
- 挨拶状は基本的に、手書きではなくハガキに印刷する
- 退職日、今までのお礼、今後の付き合いのお願いなどを記す
- 転職先や後任者の紹介などを付け加えても構わない
- 発送元(連絡先)は、自宅や、転職先の部署にする(決まっている場合)
- 取引先や上司にはハガキで送付するのが良い
- 同僚や友人など、普段からメールでのやり取りが主な相手の場合はメールでも構わない
- 内容は簡潔に書くこと。ただし、くだけすぎた表現は避ける
退職の挨拶状文例
挨拶状の文例をご紹介します。参考にしてみてください。
◆挨拶状メール文例◆
株式会社 ○○物産
○○○○様お世話になっております。
株式会社○○インターナショナルの情報太郎です。
メールにてのご挨拶で恐縮ですが、○月○日付けで○○インターナショナルを退職することになりました。
在職中は、様々なご支援、ご助言を頂きまして、本当にありがとうございました。○月○日より、株式会社○○工業にて勤務することとなりました。
これから新たな決意でスタートしたいと思っております。
今後共、宜しくご指導賜りたく、お願い申し上げます。情報太郎
◆挨拶状ハガキ文例◆
転職先の具体的な社名は、文面には加えないのが基本です。転職先がこれまでの勤務先と同業他社の場合は、顧客がかぶることもあるので、何らかのトラブルになる可能性もありえます。
どうしても知らせたい場合は、余白に手書きで書くか、退職後に改めて挨拶状を送るなど、個別に対処すると良いでしょう。
ただし、転職先が全く別の分野であれば、転職先の社名を入れても構いません。
メールで挨拶状を送信する際は、BCCで全員に一斉に送信すると、単なる告知の印象があります。
基本文面はコピペでも構いません。ひとりひとりに送り、個別のメッセージを添えて送信しよう。
退職挨拶状を出すときのマナー・注意点
退職挨拶状を出すときのマナーや注意点を紹介します。
それぞれ解説します。
誤字脱字に注意する
誤字脱字があると他人に良い印象を与えられません。「いい加減な人」や「仕事を手抜きする人」というイメージを持たれる可能性があります。
人によっては、社外のクライアントにも退職挨拶状を出す方もいるでしょう。誤字脱字のある文章にクライアントが目を通すと、会社の評価の影響にもつながりかねません。
相手の会社名や氏名、役職名などの間違いは失礼にあたります。誤りがないか、数回にわたってチェックすることをおすすめします。
句読点を使わない
退職挨拶状では、句読点を使わないのがマナーとなっています。句読点は文章を区切る際に使用することから、「ご縁を切る」といった意味合いを想像させてしまうからです。
また挨拶状が縦書きの場合は、句読点を使用しないのが一般的です。文章作成のルールで、句読点を使用しないのを正解とする場合もあります。
感謝の気持ちを伝える
退職挨拶状には退職する旨だけでなく、感謝の気持ちを伝えることが大切です。具体的には以下のとおりです。
拝啓
○○の候 皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
引用:退職挨拶状:挨拶状ドットコム
さて このたび一身上の都合により退職させていただくことになりました
長い間公私にわたり色々とお世話になりましたことを厚くお礼申し上げます
いたらぬ私ではございましたが 皆様方のおかげで大過なく勤めさせていただき大変喜んでおります
貴重な経験として これからの人生に生かしていく所存でございます
末筆ではございますが 改めて長年のご厚情に深謝するとともに
皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます
敬具
○○年○○月
退職挨拶状の文面には、明確な決まりはありません。自分が思ったとおりの文章を記載しましょう。
ネガティブな内容や話題は避ける
退職する会社や上司、同僚の悪口を書いてはいけません。退職挨拶状は、退職を伝える手段と相手への感謝を伝える書類です。
ネガティブな内容や話題は避けましょう。退職理由がネガティブな内容である場合には、「一身上の都合により」と濁して記載するのをおすすめします。
連絡先を明記する
今後も連絡を取り合う旨や、連絡先を挨拶状に明記するのをおすすめします。新しいプロジェクトに進む際に過去の同僚たちと連絡を取り合い、情報交換や協力をうながせるからです。
具体的には、新しいメールアドレスやLinkedInのアカウント情報を記載しておくと良いでしょう。ただし個人情報は慎重に取り扱う必要があるため、適切な範囲で共有してください。
タイミングを重視する
退職挨拶状は、退職する1ヶ月前までには送るようにしてください。遅くとも退職後3ヶ月以内に提出するのをおすすめします。
遅くなりすぎると相手に良い印象を与えられません。退職挨拶状を送るタイミングは慎重に検討しましょう。
退職挨拶状は男性と女性で出す割合は違う?
退職挨拶状を提出する割合は、男女での割合に違いがありません。リクナビNEXTによると男性22.8%に対して、女性は20.1%との結果です。
男女関係なく退職挨拶状は出す人もいれば出さない方も多いようです。職場の社風や前例にそって提出するのをおすすめします。
退職挨拶状の出す時期・出し方まとめ
今回の記事では、「退職する際の挨拶状の書き方」と「挨拶状を書くときのポイント」をご紹介しました。
挨拶状は、お世話になった人たちへのお礼の意味もありますし、これまでに勤務先で築いた人脈を壊さないためにも大切なものです。転職後も何かの機会でお世話になることもあるかもしれません。
社内外でお世話になった人たちに挨拶状を送り、これまでに築いた人脈を大切に今後へと繋げていきましょう。