勤めていた会社の退社を決意したものの、体調を崩したり精神的に追い詰められて、会社にいくのも辛い……。
そんな場合には退職届を郵送して退職するのがおすすめです。
そこで本記事では、退職届を郵送する際の手順や気を付けるべきポイントについて紹介します。
この記事の内容に沿って進めれば最短2時間で退職届を郵送できる準備が整いますよ。
退職届を郵送する2つのパターン
退職届は手渡しで提出するのが一般的と思われていますが、事前に上司に退職の意思を伝えていれば、法的には郵送での提出でも問題ありません。
以下、退職届を郵送する場合に考えられる2つのパターンについて紹介します。
上司の許可を得ている
退職届を郵送することについて、上司の許可を得ている場合です。
具体的には、以下のようなパターンが考えられるでしょう。
- 体調を崩していて出社できない場合
- 会社から郵送で退職届を送付するよう指示があった場合
出社が困難と判断したら、まずは電話かメールで直属の上司の指示をあおぎましょう。
会社から拒否されているが、どうしてもやめたい
とはいえ、会社から退職を拒否されている場合など、退職届を郵送することを上司から許可が取れていない場合もあります。
会社に辞意を伝えたにもかかわらず認めてもらえない場合、一方的に退職届を郵送しても法的に問題はありません。
ただ、会社にあらかじめ退職の意思を伝えないまま、いきなり退職届を送るのは避けましょう。
このような状況の場合、会社側が退職届を受け取ったかどうか、後からトラブルになるのを避けるために、内容証明郵便で送付するようにしてください。
【退職届の郵送】用意する4つのアイテム
次は、退職届を郵送する上で必要なアイテムの紹介です。
ペン
退職届を書くペンは、黒のボールペンか万年筆を使用します。
摩擦で消えるタイプのボールペンは、時間が経つと消えてしまうことがあるため避けてください。
用紙
退職届の用紙のサイズはB5かA4が一般的とされています。
パソコンで作成して印刷する場合は通常のコピー用紙で構いません。
手書きの場合は白い無地の便箋のほか、罫線入りのものも使用可能です。
ただし、ロゴやイラストが入っている便箋は退職届には不適当ですので、購入の際には注意しましょう。
また、会社によっては退職届の用紙が決まっている場合があるので、事前に確認しておいてください。
退職届を郵送する場合には、添え状を付けるのがマナーとされていますが、添え状は退職届と同じサイズなので、同じ用紙を使用して構いません。
封筒2種
退職届を郵送する際の封筒は、2種類必要です。
1つ目は退職届を入れる封筒です。正式な文書を送るときや個人情報を取り扱う際に使う、白い二重封筒を用意しましょう。
郵送用の封筒ではないため、封筒に郵便番号を記入する赤枠のない無地のものを使います。
サイズは退職届を3つ折りにしたときに合うサイズが適当です。
退職届がA4の場合は長形3号(120×235mm)、B5の場合は長形4号(90×205mm)のものを用意しましょう。
2つ目は郵送用の封筒です。こちらは退職届を入れた封筒よりもさらに一回り大きい白い封筒を選びましょう。
長3号の封筒には角形5号(190×240mm)、長形4号の封筒には長形3号(120×235mm)が目安です。
こちらは郵送するためのものなので、郵便番号を書く欄が記入された封筒を使います。
印鑑
印鑑は認印を使用します。
銀行印や実印、シャチハタは避けたほうがいいため、手持ちの印鑑がない場合は購入しておきましょう。
退職届・封筒・添え状の書き方
準備が整ったらいよいよ退職届を書きましょう。
ここでは封筒や添え状、退職届の書き方をテンプレート付きで解説します。
封筒の書き方
まず、退職届を入れる封筒の書き方について説明します。
退職届を入れる封筒
まずは退職届を直接内包する封筒の書き方です。
封筒の表に「退職届」と書きます。
封筒の中央に少し大きめに書くのがポイントです。
何も書かずに出すのは避けましょう。
裏には、自分の所属する部署と名前をフルネームで記載します。
封筒の左下に書くようにしましょう。
郵便用の封筒
次に、郵送用封筒の書き方についてです。
こちらは通常の郵便封筒と同様に、表に送り先の住所と名前を記載します。
宛先は、あらかじめ会社に誰宛てに送るのが良いのか確認しておきましょう。
また、封筒表の左下に赤ペンで「親展」と記載し、その文字を四角で囲います。
親展とは、宛名の人以外は開けないでくださいという意味を持ち、一般的に重要書類を送る際に使われます。
裏には自分の郵便番号と住所、氏名を記載します。
退職届を入れて封をした後には、忘れずに「〆」のマークを書きましょう。
退職届の書き方
退職届は、縦書きでも横書きでも構いませんが、今回はより一般的な縦書きでの書き方を紹介します。
こちらはコピペで使えるテキストです。
退職届
私儀
このたび、一身上の都合により、
勝手ながら◯◯年◯月◯日をもって退職いたします。
◯◯年◯月◯日
◯◯部
転職太郎 印
××株式会社
代表取締役社長 会社野一郎殿
退職届は以下6つのステップで書きましょう。
行数 | 記載項目 | ポイント |
1 | 退職届 | 中央に「退職届」と記載します。 |
2 | 私儀 | 下部に「私儀」(わたくしぎ)と記載します。 |
3 | 退職理由 | 「このたび、一身上の都合により、勝手ながら○○年○月○日をもって退職いたします。」など、退職理由を記載します。 退職日に関しては、事前に上司と相談して決めた日付を書きます。西暦でも和暦でも良いですが、会社の公式書類で使用されているものに合わせるのが無難です。 |
4 | 提出日 | 西暦か和暦かは会社の公式書類に合わせます。 |
5 | 所属と名前 | 「○○部
転職太郎」 氏名の下に押印をするのを忘れないようにしましょう。 |
6 | 宛名 | 「××株式会社
代表取締役社長 会社野一郎殿」 宛名は会社の最高執行責任者の役職と氏名を、自分の名前よりも上の位置に記載します。代表取締役社長などが一般的ですが、必ず正式名称で書きましょう。 |
添え状の書き方
社会人のマナーとして、退職届を送る際には添え状を付けましょう。
添え状も退職届同様、縦書きが一般的です。下記の例文を参考にしてください。
こちらはコピペで使えるテキストです。
拝啓 貴社におかれましてはますますご清栄のことと存じます。
この度、一身上の都合により退職させていただくこととなりましたので、
同封の通り退職届を提出させていただきます。
ご査収のほど、よろしくお願いいたします。
短い間ではございましたが、大変お世話になりました。
末筆ながら、貴社のご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
退職届を送る際の4つの注意点
退職届はただ送ればいいわけではありません。
スムーズに退職届を受理してもらうためには、気を付けるべきポイントがあります。
ここでは、退職届を送るときの注意点を3点紹介します。
退職届や添え状の折り方
まずは退職届の取り扱いについて説明します。
退職届は三つ折りにして封筒に入れましょう。
正式な書類のため、だいたいの位置で三つ折りにするのではなく、定規を使い均等に三等分するよう心がけてください。
折る場所が決まったら、まずは下から三分の一を折り、その上に重なるように上から三分の一の部分を折ります。
退職届を取り出す人の手間を省くため、退職届を入れた封筒ののり付けは不要です。
退職届を入れたらそのまま郵送用の封筒に入れましょう。
添え状も退職届と同様に三つ折りします。
退職届や添え状の封筒への入れ方
退職届を封筒に入れ、添え状も三つ折りできたら、郵送用封筒の表側から見て、添え状が退職届の封筒の上になるように入れます。
郵送用の封筒は、しっかりとのりで封をし、「〆」と書きます。
最後に、封筒が折れ曲がっていたり汚れていたりしないかチェックするのを忘れないようにしましょう。
白は汚れが目立ちやすいため、持ち運ぶ際はクリアファイルに入れるなどの配慮があると良いですね。
郵送は郵便局の窓口から
退職届はポストに直接入れるのではなく、郵便局の窓口まで行って送りましょう。
退職届は封筒が二重になっているため、追加料金が必要な場合があるためです。
万が一切手代が足りなかった場合返送され、提出期日に間に合わなくなる可能性があります。
また、会社側が退職届の受理を拒否している場合は「退職届が届いていない」といわれかねません。
送った送ってないでトラブルになることを避けるため、内容証明郵便で送るようにしたほうが良いでしょう。
退職届を送るタイミング
後任の採用や引き継ぎなど会社側の都合もあるため、あらかじめ退職届を送るタイミングは上司に相談しておくのがベターですが、必須ではありません。
民法627条(*)では「退職の2週間前に退職の告知を行えば問題なく退職できる」と定められており、相談が難しい場合は、少なくとも2週間前に退職届を送れば有効となっています。
ただし年俸制の人は、民法627条(*)に「6ヶ月以上の期間ごとに報酬が定められている場合は、退職の3ヶ月以上前に退職の意思表明を行う義務がある」といった記載があるため、2週間前だと無効になってしまいます。
また完全月給制や、雇用契約に期間の定めがある人など、契約条件によっては1ヶ月ごとに雇用契約を更新する場合もあります。
このような雇用契約を結んでいる場合、2週間前に提出した退職届は受理されないことがあるので注意が必要です。
就業規則に記載されている退職の申告時期が2週間よりも長い期間である場合は、民法が優先されるため、法的には2週間前に退職届を提出した場合も無効にはなりません。
とはいえ、就業規則に従う方が、円満な退職につながりやすいので、就業規則を優先させた方が良いでしょう。
(*)民法 第六百二十七条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)|e-Gov
まとめ
退職届を郵送して退社した場合も、会社との縁が切れるわけではありません。
退職金や雇用保険の支払いや、引き継ぎの確認など、会社と連絡を取る必要があります。
退職の手続きは、社会人としてのマナーを守って進めましょう。
そして退職と同時に考えておきたいのが退職後の生活や仕事のことです。
退職前は辞めることばかりに意識がいきがちですが、生活があります。
特に金銭面はきれいごとをいってもどうしようもありません。
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