さまざまな企業で採用されている「みなし残業」が原因で、トラブルになるケースが少なくありません。
「みなし残業のせいで毎日残業させられている」
「みなし残業分がなければ、基本給が最低賃金を切っているのでは?」
みなし残業がおかしい企業では、社員を低賃金で働かせようとしている場合があります。みなし残業が少しでもおかしいと思う方は、できるだけ早く転職を検討してみてください。
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そもそもみなし残業制度とは?
みなし残業は「残業時間にかかわらず、残業代を固定で支払うための制度」です。システムエンジニアやコンサルタントなど、労働時間の把握が難しい職種でよく採用されています。
正式には「みなし労働時間制」と呼ばれており、「固定残業」や「定額残業」もすべて同じ制度です。
みなし残業制度の導入は、以下3つの条件を満たす企業に認められています。
- 基本給と残業代が明確に区別されている
- 労働者から合意を得ている、就業規則として明記されている
- みなし残業時間を超えた分は、追加で残業代を支払っている
企業がみなし残業を適切に運用していれば、ブラックと言われるような制度ではありません。
みなし残業はおかしいのか?違法なの?
みなし残業は違法ではなく、厚生労働省によって認められた制度です。ただし、みなし残業を導入する企業は、以下3つを募集要項や求人票に明記しなければなりません。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
- 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
参考:厚生労働省
上記3つを明記せずにみなし残業を導入する企業は、違法の可能性が高いです。まずはあなたの勤める企業で明記されているのかを確認してみましょう。
適切な表示をせずに、低賃金で働かせようとする企業もあるので注意してください!
みなし残業を取り入れている企業の割合は13%
厚生労働省が令和2年に実施した調査によると、みなし残業を取り入れている企業の割合は13%しかありません。
その結果から、ほとんどの企業では超過した労働時間分は、残業代として別途支払われていることがわかります。
また、みなし労働時間制の種類は以下のとおりです。
- 事業場外みなし労働時間制
- 専門業務型裁量労働制
- 企画業務型裁量労働制
種類別の結果を見ると、エンジニアやコンサルタントなどの職種で取り入れられていると予想できます。
企業全体で比較すると、みなし残業を取り入れる職場は少数派です。
みなし残業制度が原因でトラブルになる会社の特徴
みなし残業は法律で認められており、決して悪いものではありません。しかし、以下のような特徴のある会社では、みなし残業が原因でトラブルになりやすいので注意してください。
- 基本給と残業代が区別されていない
- みなし残業時間を超えているのに追加で支払ってくれない
- 実際の労働時間の個人差が大きい
- みなし残業なのに残業を強制される
- みなし残業を引いたあとの基本給が低い
基本給と残業代が区別されていない
みなし残業制度を採用していても、基本給と残業代が明確に区別されていない企業は要注意です。
そもそも、みなし残業制度を採用するには、基本給と残業代を区別しなければなりません。労働基準法で定められた条件であり、従わずに制度を運用する企業はブラックな可能性があります。
基本給と残業代を区別するのは、割増賃金を正確に計算するためです。企業がわざと区別していないのは、労働者に超過分の残業代を払いたくないからかもしれません。
みなし残業制度の条件を守らない企業は、トラブルが起きる可能性があるので注意してください。
みなし残業時間を超えているのに追加で支払ってくれない
みなし残業の時間を超えているにもかかわらず、追加で残業代を支払ってくれない会社もあります。
実際によくあるケースで、追加の支払いを受けるには労働基準局へ相談しなければなりません。
みなし残業代は「このくらいの残業はあるだろう」という、最低ラインの残業代を事前に支払う制度です。企業には超過分の残業代を支払う義務があります。
しかし、上司の中に超過分の支払い義務を知らない方がいるのも事実です。
制度を正しく理解せず運用している企業は、いずれトラブルが発生するでしょう。
実際の労働時間の個人差が大きい
みなし残業を導入している企業では、労働時間の個人差が大きい場合があります。
東京都産業労働局の調査によると、実際の労働時間の個人差が大きいことが問題となっているという結果が出ました。
同じ時間の残業であっても実際の労働時間が異なれば、より多くの仕事をこなした労働者に不公平が生じます。
労働時間の個人差があまりに大きい企業は、労務管理をきちんと行っていないので注意してください。
みなし残業なのに残業を強制される
みなし残業制度を導入しているからと言っても、労働者にとって残業は義務ではありません。それにもかかわらず、社員に毎日の残業を強制するおかしい企業も存在します。
あくまでも「みなし残業」なので、残業せずに定時で退社しても問題はないはずです。
しかし、日本では労働時間の長さを重視する傾向があり、定時退社する社員に対して残業を強制する場合があります。
自分の意志を貫いて退社できれば良いですが、同調圧力に負けて残業してしまう方もいるでしょう。
このような企業では、今後トラブルが発生する可能性があります。
みなし残業を引いたあとの基本給が低い
みなし残業を引いたあとの基本給が低いのも、トラブルが起きやすい企業の特徴です。
基本給を時給に換算したときに、都道府県で定められた最低賃金よりも低いと、最低賃金法違反として罰則の対象になります。
みなし残業制度の条件を満たしていても、最低賃金を割っているので話になりません。
労務に相談して賃金が改善されれば良いですが、みなし残業代を減らすことでバランスを取ってくる可能性が高いです。
労働基準法を守れないような企業は、今後もトラブルを起こしかねないので注意してください。そんな企業には見切りをつけて、早めに転職したほうが良いです。
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みなし残業はおかしいと言われているのに企業が辞めない理由
みなし残業はおかしいと言われているのに、企業が辞めない理由には以下の2つがあります。
- 労務管理のコストが減る
- 生産性が向上する
労務管理のコストが減る
みなし残業はおかしいと言われても企業が辞めないのは、労務管理のコストを減らせるからです。
従来の方法で労働者一人ひとりの残業代を計算すると、労務管理のコストがかかります。しかし、みなし残業では残業代を一律として支払えるので、大きな手間やコストがかかりません。
また人件費を事前に予想できるため、企業を維持するための見通しも立てやすくなります。
企業にとって業務の手間や、人件費などのコストをいかに削減するかが課題です。そのため、みなし残業はおかしいと言われても、やめる気はまったくないのでしょう。
生産性が向上する
みなし残業を適切に運用すれば、従業員の生産性を向上させる効果があります。
東京都産業労働局の調査によると、みなし残業制度を導入した効果について、42.3%の企業が「生産性の向上」と回答していました。
残業代を見越して毎月の給与をもらえるのであれば、早く仕事を終わらせて定時で退社するに越したことはありません。
残業せずに稼ぎたい従業員が増えれば、業務効率はどんどんアップするでしょう。
ただし、みなし残業にするだけで業務効率が上がると、勘違いしている企業もあるので注意が必要です。
労働者側のみなし残業制のメリットは?
みなし残業を導入する企業であっても、ほとんど残業することなく定時退社できれば労働者が得をします。実際は残業していなくても、毎月の給与に残業代が含まれているからです。
しかし、みなし残業を導入する企業において、残業せずに定時で退社できることはほとんどありません。
退社時間を過ぎても仕事を続ける同僚や上司に配慮して、残業してしまうケースが多いです。みなし残業を導入する企業では、多くの労働者側が損をしているのです。
「自分の仕事は終わった」と退社できるのは、かなり強いメンタルを持った方だけでしょう。
おかしい残業制度のある会社の見極め方
おかしい残業制度のある会社を見極めるには、以下2つをしっかり確認しておきましょう。
- 求人票の給料について入社前にしっかりと確認する
- 口コミサイトや実際の社員さんの声を聞く
求人票の給料について入社前にしっかりと確認する
おかしい残業制度のある企業への入社を防ぐには、事前に求人票の給料について確認しましょう。
みなし残業制度を導入している場合、その旨を求人票に明記しなければなりません。求人票を確認すれば、企業がみなし残業制度を導入しているかを確認できます。
また、基本給とみなし残業代は分けて考えましょう。基本給だけ見ると実際は他の会社の給料が変わらない、もしくは低い可能性もあります。
転職エージェントを利用して求人を探す方も、企業の給料について必ず確認してください。転職エージェントのコンサルタントに聞けば、給料について詳しく教えてもらえます。
口コミサイトや実際の社員さんの声を聞く
口コミサイトのチェックや実際の社員さんの声を聞くことも、会社を見極めるには大切です。
口コミサイトをチェックすれば、企業の雰囲気をある程度つかめるでしょう。
また実際の社員さんからの話では、その企業がみなし残業制度を導入しているのかがわかります。
話を聞く際には給料についてだけでなく、残業が多いのかなども確認しておきましょう。
今いる会社のみなし残業制度がおかしいと感じたときの対処方法
今いる会社のみなし残業制度がおかしいと感じる方は、以下の対処方法を試してみてください。
- おかしいみなし残業制度のない企業へ転職する
- 効率的に働いて残業せずに帰れるようにする
- 労働基準監督署に相談する
おかしいみなし残業制度のない企業へ転職する
みなし残業がおかしいと感じるなら、基本給とは別に残業代が支払われる会社に転職しましょう。
おかしいと上司に相談したところで、給与形態を変えない企業がほとんどです。そんな会社にいても明るい未来はやって来ません。
思い切って転職してしまったほうが、おかしいみなし残業に悩まされずに気持ち良く働けます。
ほかの企業への転職を希望するなら、リクルートエージェントに相談するのがおすすめです。
常時40万件以上の求人を扱っているため、みなし残業のない豊富な求人からあなたに合った企業を見つけられます。
独自のルートで企業から情報を仕入れているので、求人票には記載されていない残業の度合いなども教えてもらえるでしょう。
またリクルートエージェントは転職支援実績No.1を獲得しており、転職が初めての方でも安心です。
リクルートエージェントに相談して、みなし残業制度のない企業に入社しましょう。
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効率的に働いて残業せずに帰れるようにする
転職を検討しない場合は効率的に働いて、残業せずに帰れるように心がけましょう。
あなたが勤める会社でみなし残業が導入されていても、残業しなければ損することはありません。
ただし、同調圧力が強くて残業せざるを得ない雰囲気であれば要注意です。残業しないせいで、あなたが孤立してしまう可能性もあります。
その場合には、残業せずに定時退社する仲間を作って、一緒に帰ってしまうのが良いでしょう。
労働基準監督署に相談する
労働基準監督署に相談するのも、みなし残業への対処方法として効果的です。
労働基準監督署に相談する手段には以下の3つがあります。
- メール
- 電話
- 直接訪問
まずは厚生労働省のHPで、会社の所在地を管轄する労働基準監督署を探してください。その後、みなし残業に関するトラブルを相談しましょう。
ただし、公的機関に相談したからと言って、必ず残業代が改善されるわけではありません。特に1人だけが相談しても、ちょっとした騒ぎになる程度で終わる可能性もあります。
労働基準監督署に相談するなら、みなし残業を改善したい同僚を何人か集めるのがおすすめです。
みなし残業制度だけど定時退社してもよい?
みなし残業制度を導入した会社で、定時退社しても問題はありません。みなし残業は想定される残業代を事前に支払うための制度です。
やるべき仕事がすべて終わっている場合、残業せずに退社するのは当然の権利です。それでも残業を強制されるのなら、同僚や会社の考え方がおかしいと思ってください。
残業代をもらっているから申し訳ないなどと思わずに、堂々と定時で退社してしまいましょう。
みなし残業制度なのにホワイトな企業はある?
みなし残業制度を導入する企業の中には、ホワイトな企業もあります。しかし、みなし残業制度を正しく理解して運用する企業は少なく、出会える可能性は低いかもしれません。
みなし残業制度のホワイト企業に転職するよりも、残業代を支払ってくれる企業に転職するほうが現実的です。
転職エージェントに相談して、給料面で納得のいく企業に転職してしまいましょう。
みなし残業制度のおかしい会社は今すぐやめたほうがいい!
みなし残業制度のおかしい会社で働き続けても、明るい未来は待っていません。今は問題なくても、将来的に賃金未払いなどのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
今すぐ転職エージェントを利用して、ヤバい会社には関わらないようにしましょう。
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みなし制度のおかしい会社に我慢できないなら、次の転職先をさっさと決めてしまいましょう。
残業時間の平均や残業時間ごとの特徴などが知りたい方には、『身近な法律情報誌リーガレット』の「残業時間の平均は25時間!残業時間ごとの特徴とブラック企業の基準」という記事がおすすめです。
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