公衆衛生医師として働く人は医師全体の1.1%にすぎませんが、公衆衛生を考えるうえで非常に重要な仕事だといえます。
公衆衛生医師は医療分野だけでなく、保険分野や福祉分野の知識も必要な職種であり、広域的業務や専門業務、危機管理対策などを仕事の中心とします。
本記事ではこの公衆衛生医師を取り上げて、その離職率や、公衆衛生医師を辞めたいと考えている人が考えるべきこと、公衆衛生医師の仕事を続けていった方がいい人・辞めた方がいい人について解説していきます。
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公衆衛生医師の離職率は59.1%と高く、5年以内の早期退職者も多い
まず、公衆衛生医師の離職率について見ていきましょう。
公衆衛生医師の離職率が非常に高いことを、群馬県がまとめた「公衆衛生情報」2022年7月号 武智医監の記事全文ー『地域保健活動最前線 第86回公衆衛生医師の確保と育成に関する調査および実践事業の報告』」が示唆しています。
このデータによれば、公衆衛生医師の離職率は、中途採用者・新規採用者双方でなんと6割近くにも達しているとのことです。また、現在公衆衛生医師を続けている人のなかでも、「定年まで続けたい」という強い医師を持つ人の割合は3人に1人程度にすぎません。
「公衆衛生医師の転職率6割程度」がどれほどに大きいかということは、ほかの医師との違いを見ればよりはっきりと分かります。一般的な医師の離職率は、データによって異なりますが、低いものでは3%、高い数字に合わせても25%です。
医師はストレスを溜めやすい職業であり、そしてそのストレスが離職という決断に直結するものですが、公衆衛生医師の抱えている悩みやストレスはかなり根が深いといえるでしょう。
公衆衛生医師を辞めたいけど勇気が出ない原因
「公衆衛生医師を辞めたい」と考えていたとしても、なかなか勇気が出ない……と悩んでいる人も多いことでしょう。
そのような悩みは、下記の問題を明らかにすることで解決するかもしれません。
ひとつずつみていきましょう。
公衆衛生医師を辞めるメリット・続けるメリットを把握できていない
公衆衛生医師を辞めるメリット
まず、公衆衛生医師を辞めることのメリットについて考えていきましょう。
公衆衛生医師を辞めるメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 公衆衛生医師の重要性を理解していない地方自治体で働いている場合、そのストレスから解放される
- 年収の低さが改善されることが多い
- 副業ができるようになる
- 公衆衛生医師の重要性を理解していない地方自治体で働いている場合、そのストレスから解放される
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公衆衛生医師は、自治体の住民全体の健康に関わる仕事であり、非常に重要な仕事です。しかし地方自治体によっては、この公衆衛生医師の重要性をそれほど強く認識していない場合もあります。
このような自治体で働く医師は、「軽んじられている」「待遇が悪い」と感じやすいでしょう。実際に、全国保健所長会では、「一般市民はもちろん、医療関係者からすら公衆衛生医師の仕事が十分に理解されていないのが現状である」と苦言が呈されています。
公衆衛生医師を辞めることで、このような「周囲の人が無理解な環境」から脱却できるのは事実です。
- 年収の低さが改善されることが多い
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公衆衛生医師は、医師のなかでは年収が低い働き方であるとして知られています。公衆衛生医師の場合は年功序列型のシステムでキャリアアップしていくかたちになるのが一般的ですが、経験5年目の年収の平均は900万円前後と考えられています。
低い都道府県の場合は660万円程度です。比較的高収入の公衆衛生医師でも、その上限は1,200万円程度です。そして10年経っても、平均年収はそれ程アップせず、770万円〜1,300万円に留まります。
医師全体の年収相場はおおよそ1,200万円〜1,500万円程度です。これは公衆衛生医師の「上限値の年収」とほぼ一致しています。つまり公衆衛生医師は、ほかの医師に比べて、平均値以下の年収しか得ていない可能性が極めて高いといえるのです。
裏を返せば、ほかの一般的な職場に転職すれば、このような悩みは解決するといえます。
- 副業ができるようになる
-
公衆衛生医師が、公衆衛生医師という職業の年収の補足分を補おうと副業をしようとしても、これができないというデメリットがあります。
なぜなら公衆衛生医師は、立場上は「公務員」というかたちになるからです。そして公務員は、基本的にその副業を認められていません。
医師の副業は非常に日給が高く、「1日拘束で10万円」などのようなアルバイトもあります。公衆衛生医師を辞めて、公務員という立場から解放されることで、より高い年収が得られやすくなります。
退職後のキャリアが決まっていない
「公衆衛生医師を辞めたいと考えているが、退職後のキャリアが決まっていなくて、二の足を踏んでいる」という人も多いのではないでしょうか。
転職の基本は、「次の職場を見つけてから、今勤めている仕事を辞める」です。そうすることで、自己都合の退職であっても、生活費などに困る可能性がなくなります。
ただ、医師は非常に重宝される仕事です。これは医師という職業の大きなメリットなのですが、選択肢が多くありすぎることで、逆に「それでは自分はどんなところに移ればいいのだろう」「次のキャリアはどうすればいいのだろう」という迷いを抱いてしまいがちです。
公衆衛生医師退職後のキャリアの選択肢
退職後のキャリアを決めることは、公衆衛生医師を辞めるときの大きな決断材料となり得ます。
- 臨床医……再び現場に立ち、病気の対応に当たっていく選択肢です。臨床医の求人情報は非常に多いため、この選択肢を選んだ場合は、「次の転職先に困る」という状態になることはあまりないでしょう。
- 医療研究者…「今後の医療、未来の医療」のために研究をする、医療研究社になる道もあります。この場合、大学や病院、あるいは製薬会社などに所属して研究をしていくかたちになるでしょう。知的好奇心が旺盛な人に向いている選択肢です。
- 高齢者施設などで働く……高齢者施設で「配置医」として働く道を選ぶのもひとつの手です。高齢者施設で働く場合、残業や当直が発生する可能性は極めてまれです。そのため、「公衆衛生医師は辞めたいが、公衆衛生医師と同じようにワークライフバランスを取りやすい仕事をしたい」という人にぴったりです。
公衆衛生医師を辞めた後のキャリアを考えることは、公衆衛生医師を辞めたいと考えている人にとって非常に重要です。自分の進みたい道をしっかりと見極めましょう。
公衆衛生医師を辞めたい人が取るべき行動
公衆衛生医師を辞めたいと考えた場合に、取るべき行動は以下の3つです。1から順番に、3ステップで行動していきます。
それぞれ細かく解説していきます。
①まずは上司などに相談する
公衆衛生医師を辞めたいと思った場合、まずは上司などに相談をしましょう。たとえば「これからのキャリアについて迷いがある」「公衆衛生医師という仕事の意義について悩んでいる」「人間関係についていろいろ考えている」など、今自分が抱えている悩みを正直に打ち明けます。
上司もまた、公衆衛生医師として働くうえで、同じような悩みを抱え、またそれを乗り越えてきた経験があると思われます。そのため、悩みを打ち明けることで具体的なアドバイスがもらえたり、考え方の転換方法を教えてもらえたりするかもしれません。
「公衆衛生医師を辞めたい」という気持ちには、当然強弱があります。「辞めたい」という気持ちがそれほど強固なものでなかったり、職場や上司の働きかけで原因が解決するものであったりした場合、転職・辞職までは行わなくてもよくなる可能性もあります。
転職・辞職は決して悪いものではありませんが、人生を大きく変えるものではあるので、まずは「現在の職場にいながら、状況を変えることはできないか」「現在の職場で勤め続けながら、原因を解決することはできないか」を模索していくとよいでしょう。そしてそのような方法のひとつとして、「上司への相談」は非常に有用なものです。
②自分のこれから歩みたいキャリアを明確にする
「上司に相談しても状況が変わらなかった」「公衆衛生医師という仕事自体を辞めたい」という気持ちが強いのならば、転職・辞職後の自分のキャリアを真剣に考えていく段階に入りましょう。
公衆衛生医師は、良くも悪くも、キャリアステップが分かりやすい働き方です。年功序列なところもあるため、大きな年収アップや一気に昇進するといった未来は見込みにくいものの、自分が歩む道を把握することは容易です。
しかし公衆衛生医師を辞めてほかの仕事に就く場合は、当然キャリアも積み直しになります。またほかの場所で働こうとした場合、その転職先でのキャリアステップも変わってきます。
そのため、転職後の自分のキャリアアップ・キャリアステップがどのようなものになるかを、辞職前にしっかり考えておく必要があります。特に畑違いの仕事に就く場合は、この「今後のキャリアを考えること」が非常に重要になります。
③医師転職に特化した転職エージェントに相談する
「転職の意志は固い」「今後のキャリアアップ・キャリアステップをよく考えて、公衆衛生医師を辞めようと決心した」という段階に来たのなら、転職エージェントに相談するステップに進むとよいでしょう。
転職エージェントは、医師の転職活動を支え、新しい転職先をあっせんしてくれるものです。なお、「自分自身で今後のキャリアアップ・キャリアステップをしっかり考えたが、専門家からアドバイスをもらいたい」という場合も、転職エージェントは心強い味方になってくれます。
転職エージェントは、数多くあります。一般向けの転職エージェントを利用することもできますが、医師の転職の場合は、医師専門の転職エージェントを使うことをおすすめします。
医師専門の転職エージェントは、医師の転職に特化しているためサポート体制も万全ですし、数多くの医師向け求人情報を持っています。また、転職希望先と医師の間に立ち交渉も行ってくれるため、転職にかける時間や手間を大きく削減できるのもメリットです。
公衆衛生医師を辞めたい人におすすめの医師転職サイト・エージェント
医師転職サイト・エージェントは、その需要の高さから、数多くあります。そしてそれぞれの転職サイト・エージェントが特徴を持っています。ここではそのなかから、下記の3つを取り上げ、それぞれの特徴を解説していきます。
※併用することもできます。
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エージェント名 | エムスリーキャリアエージェント |
求人数 | 公開求人:45,489件 非公開求人:- (2024年11月14日現在) 今の求人数:公式HP参照 |
対応雇用形態 | 常勤・非常勤 |
対応診療科目 | 内科全般・外科全般・ほか小児科や産婦人科、耳鼻咽喉科や眼科など |
対応エリア | 全国 |
拠点 | 東京都港区虎ノ門4-1-28虎ノ門タワーズオフィス |
公式HP | https://agent.m3.com/ |
東京に拠点を置く「エムスリーキャリアエージェント」は、転職を考えている医師にとって非常に使いやすいサイトです。
エムスリーキャリアエージェントは、32万人という膨大な数の医師が利用しているサイトです。数多くの先輩医師が利用してきた転職エージェントであり、信頼も置けます。
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エージェント名 | 医師転職ドットコム |
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対応雇用形態 | 常勤・非常勤 |
対応診療科目 | 内科全般・外科全般・ほか小児科や産婦人科、耳鼻咽喉科や眼科など |
対応エリア | 全国 |
拠点 | 北海道札幌市中央区北1条西5丁目2番地興銀ビル9F(本社) |
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医師向け転職エージェント・サイトのなかでも、非常に求人数が多いことで知られているのが「医師転職ドットコム」です。その数は、常勤+非常勤で44,000件を数えます。また、転職エージェントのなかでは珍しく、関東圏以外に拠点を置く会社でもあります。
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なお、医師転職ドットコムでは、「希望を登録しておけば、それに添った求人が出たときにメールで知らせる」というシステムも提供しています。
そのため、「自分の希望に添った求人情報が出た時点で転職を考える」というように、ある程度長期スパンで転職を考えている人にとっても利用しやすいでしょう。
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対応雇用形態 | 常勤・非常勤・スポット |
対応診療科目 | 美容外科や美容皮膚科、内科全般・外科全般・ほか小児科や産婦人科、耳鼻咽喉科や眼科など |
対応エリア | 全国 |
拠点 | 東京都千代田区九段北1丁目14-6 九段坂上KSビル |
公式HP | https://www.recruit-dc.co.jp/ |
医師の転職活動を支え続けて40年にもなる「リクルートドクターズキャリア」は、医師の転職エージェントのなかでも老舗といえる存在です。転職・就職エージェントとして非常に知名度の高い「リクルート」が運営しているサイトでもあるため、安心感もあります。
「公衆衛生医師として長い間勤め続けてきた。50代に差し掛かったが、これからも医師として長く働き続けられるところを探している」などのように、生涯現役でいたい人にとって利用しやすいのも、リクルートドクターズキャリアの魅力です。
リクルートドクターズキャリアでは、「定年なし」「定年後再雇用制度あり」「定年65歳以上」の3つのチェックボックスがあり、年齢を重ねた人・これからも長く働き続けていきたい医師の転職を積極的に支援しています。
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公衆衛生医師を辞めた方がいい人の特徴
公衆衛生医師を辞めるか辞めないかを考えるとき、まずは「そもそも自分は、公衆衛生医師を辞めた方がいい人間なのか、それとも(少なくとも現段階では)公衆衛生医師を辞めない方がいい人間なのか」を考えることは非常に重要です。
公衆衛生医師を辞めた方がいいのは、以下の条件にあてはまる人です。
一つひとつ、細かく解説していきます。
年収に不満を感じている人
公衆衛生医師は、一般的な医師に比べて年収が低い傾向にある働き方です。経験年数によっては一般の医師よりも500万円ほども年収が低くなる可能性がありますし、経験を積んでも1,500万円を超えることはなかなか難しい働き方だといえます。
医師の仕事の魅力のひとつとして「年収の高さ」が挙げられます。しかし公衆衛生医師である以上、大幅な年収アップは見込めません。
また、公衆衛生医師は公務員の身分となるため、副業は原則禁止です。副業で収入アップを図ることもできないため、収入の面ではほかの働き方をしている医師に劣ることが多いといえます。
そのため、現状の年収に不満を持っている人は転職を積極的に検討すべきでしょう。なお、美容医療の分野の医師は、特に年収が高くなる傾向にあります。
自分自身でキャリアステップを構築していきたい人
公務員である公衆衛生医師は、そのキャリアステップが定められています。自治体などによって多少の違いはあるものの、基本的には以下のキャリアステップをとります。
- 課長代理級(本庁課長代理、保健所係長・主査など)…臨床研修終了後
- 課長級(本庁課長、保健所課長など)…1のステップ2年以上かつ医師としての経験9年以上
- 部長級(本庁部長、保険所長など)…2のステップ8年以上
- 局長級(技監、理事など)…3のステップ3年以上
※東京都の場合
「何年公衆衛生医師を勤めているか」によって出世が決まるため、「自分自身の力で立身出世していきたい」「技術があれば認められる働き方がしたい」と考える人は、公衆衛生医師の職を辞めることも考えた方がよいでしょう。
また、公衆衛生医師は公務員であるため副業ができず、「ほかの分野でも経験を積んでいきたい」と考える人には不向きな働き方でもあります。
出典:東京都「キャリアを考える~公衆衛生医師のキャリアパス」
臨床医として、現場に立ちたい人
近年流行している新型コロナウイルス(COVID-19)に、公衆衛生医師は果敢に立ち向かってきました。公衆衛生医師としての働き方は当然尊重されるべきものであり、臨床医と同様に、人の命を助ける仕事だといえます。
ただ、「公衆衛生医師として仕事をしてきて、やはり現場に戻りたいと考えた」「公衆衛生医師としてやりたいことはやりつくしたので、今度は臨床医として人を助けたい」と思う人もいるでしょう。常に直接患者さんと接し、その治療にあたる臨床医としての仕事は、医師としてのやりがいを感じさせてくれるものだからです。
このような希望がある人は、公衆衛生医師を辞めて現場に行く・戻る選択肢をとるのがおすすめです。医師は非常に高いニーズのある職業であるため、「今までずっと公衆衛生医師として働いてきていて、それ以外の経験がない」という医師でも、転職先がなくて困るという状況にはなりません。
臨床医に転職するのであれば転職エージェントの利用がおすすめです。転職エージェントを利用すれば、公衆衛生医師での経験を活かせるあなたにぴったりの求人を紹介してもらえます。
公衆衛生医師を辞めない方がいい人の特徴
公衆衛生医師を辞めない方がいい人の特徴は、以下の通りです。
詳細を解説していきます。
妊娠や出産を考えていたり、育児をしていたりする人
公衆衛生医師は公務員の待遇であることもあり、育休制度や産休制度がきちんと整っています。また、残業やオンコール、当直がほぼないため、妊娠や出産を考えている人や、育児をしている人でも働きやすい環境が整っています。
職場にもよりますが、時短勤務などが積極的に導入されていたり、部分休業が認められたりするケースが多いのも公衆衛生医師の特徴です。
また、勤務開始時間を選べる職場もあります。そのため、「会社員の夫が朝の8時に出勤し、公衆衛生医師の妻が子どもを保育園に送って10時に出勤する。18時に夫が子どもを保育園に迎えに行き、妻が20時に帰宅」などのようにフレキシブルな対応が取りやすくなります。
共働き率が50%を超え、核家族化が進む現在において、このような対応が取れるのは公衆衛生医師の大きなメリットです。
福利厚生の整った職場で働きたい人
公務員のもっとも大きなメリットとして、「福利厚生が整っている」を挙げる人は多く見られます。公衆衛生医師も公務員の一種であるため、この「福利厚生」の恩恵を受けます。
公衆衛生医師は職員住宅に応募することができますし、自治体によっては公舎が用意されています。さらに、賃貸物件に住む場合は、住居手当も支給されます。
また、男女問わず育児休業制度および時短勤務制度を利用することができますが、休み明けには復職のための研修を受けることも可能です。
介護休暇ももちろん認められていますし、「休憩時間を短くする代わりに、早く帰る」などの方法を選ぶこともできます。
なお多くの自治体は、公衆衛生医師の外部研修も積極的に後押ししています。公衆衛生医師を対象とする社会医学系専門医の制度資格取得を推進している自治体もあるため、専門分野を深く学んでいきたい人にも向いています。
※福利厚生の詳細は、各自治体に要確認。
プライベートの時間を大切にしたい人
残業が少なく、働く時間が決まっていることもまた、公衆衛生医師として働くことのメリットです。公衆衛生医師の場合、基本的には土日祝日が休みであり、出勤日は平日と定められています。
育児中などは時短勤務などを利用できますが、これを利用しなくても、8時台〜18時台に仕事が終わるのが一般的であるため、プライベートの時間が圧迫されません。年次有給休暇も取得できますし、夏や冬には長期間(5日程度)の休みが設けられています。また、休憩時間もしっかり確保できます。
医師という職業は多忙なことで知られていますが、公衆衛生医師としての働き方を選べば、プライベートの時間が確保しやすくなります。
言い方を変えれば、「公衆衛生医師として働いているときと同等程度にプライベートの時間を確保できる職場に変わりたい」と考えるのであれば、しっかり精査する必要があるということです。
公衆衛生医師から転職する難易度は?
公衆衛生医師から一般の現場の医師に転職する場合、「臨床経験の少なさ」がネックになる可能性がゼロではありません。
特に、初めての就職先・働き方として公衆衛生医師を選んだ人の場合は、「この人は現場で働いていくことができるのだろうか」と不安に思われたり、臨床経験が豊富な医師との採用競争で負けたりする可能性が高くなるでしょう。
また、公衆衛生医師の場合は、良くも悪くも「職員のうちの一人」として働くことになりますが、臨床の現場に立った場合は「先生」の立場から看護職員への指示が求められることが多くなります。
さらに、「病院」は利益を得ないと経営が成り立たないため、雇われて医師として働く場合であっても、このような点を常に意識しなければなりません。
人によっては、「人を健康にしたいと考えているのに、患者様が来てくれないと経営が成り立たない」というジレンマに悩まされてしまうこともあります。
このようなことから、公衆衛生医師から臨床の現場に行く(戻る)場合の難易度は、ある程度高いものと考えられます。
公衆衛生医師を辞めたいならまずは医師転職のプロに相談するのがおすすめ
公衆衛生医師として多くの人の健康を守る働き方も、現場で多くの人の命を守る働き方も、両方とも尊いものであり、そこに優劣はありません。育児もしやすくなりますし、福利厚生がしっかり整った環境で働けるのは公衆衛生医師の大きな魅力です。
ただ、「公衆衛生医師としてではなく、現場に立って働きたくなった」「年収面での不満がある」「自分の力で自分の道を切り開きたい」と思うのであれば、公衆衛生医師としての働き方を辞めて、ほかのところに転職する選択肢をとるのもひとつの手です。
そしてこのような選択肢をとりたいと考える医師にとって、エムスリーキャリアエージェントを始めとする医師専門の転職エージェント・サイトは非常に頼りになる味方たりえます。
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