Slerは将来性がないのか?なくならない理由やキャリアなどを解説

本記事の結論
  • SIerの将来性はまだまだある
  • ただし、目的もなく続けるとスキルが頭打ちして年齢だけを重ねていくリスクも
  • 目的に応じた会社を選んで、キャリア形成に活かそう

SIerを目指している方やすでに業務に携わっている方で、こんな言葉をよく聞きませんか?

「SIerは将来性ないよ!」

「SIerの仕事がどんどん減るらしいよ」

このように、将来就きたい仕事や現在やっている仕事の不安要素を言われると、多くの方は今後の需要が気になります。

そこで本記事では、SIerの将来性について種類と概要や将来性がない理由、なくならない理由、おすすめのキャリアなどを解説します。

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SIerとは

SIerはもともと「SI(System Integration)」の頭文字をとった造語で、事業者のシステム構築や導入を請け負う会社(SIを行う会社)のことを指します。

日本で「SI」という言葉が普及したのは、1987年に現在の経済産業省が創設した「システムインテグレーション認定制度」が大きな要因です。

当時の急激なIT技術の向上についていけない企業が多かったことから、国が推進することでノウハウを持たない企業が安心してシステムの外注ができるようになりました。

Slerの種類と概要

SIerの仕事は4つの種類に分けられます。それぞれ種類ごとに以下にまとめてみました。

種類概要活動企業
ユーザー系・企業の情報システム部門が、企業から分離・独立してできたSIer
・自社システムの構築で培ったノウハウを活かして、親会社や特定の顧客に向けたシステム開発やソリューション提案
大手企業の子会社
メーカー系・ハードウェアを開発するメーカーのシステム開発部門やソフトウェア部門が分離・独立してできたSIer
・親会社のハードウェアを用いたシステム開発やソリューション提案などが業務
スーパーコンピューター開発企業の子会社
独立系・親会社を持たず、独自にSIerとしてシステム開発に携わる会社
・気の合うプログラマー同士が集まって設立された会社などが多い
・比較的自由なビジネスモデルでIT系の商社の新規事業としてSI事業をつくる例もある
中小企業から大企業
外資系・外国に拠点を置いている企業の日本支店SIer
・自社商品の業務システムを使ってもらうためにシステム導入を請け負っている
IT企業やコンサルタント企業
SIerの種類と概要と活動企業

SIerはシステム開発のためのプログラミング以外にも、企画、要件定義、運用・保守など特定の技術に依存しない多岐に渡る仕事があり業務範囲が広いです。

したがって、プログラミングなどの技術領域より顧客要望にマッチするシステムを創出するための、マネジメントや資料作りが多くなることもあります。

SIerは、ITシステムを活用するすべての企業がビジネスの対象なので、顧客の業界と要望をどこまで理解できるかが重要です。

Slerは将来性が「ない」と言われる理由4選

「SIerは将来性がない」と発信しているメディアは多くあります。

メディアによって意見はさまざまですが、比較的多く意見があった将来性がないと言われる理由があります。

その理由とは以下の4つです。

キャリア先輩

ひとつずつ解説していきます。

①クラウドサービスの普及

これまで企業は自社内でシステム構築を行うのが一般的でしたが、近年のクラウドサービスの普及により、すでにあるものを活用するのがスタンダードになっています。

コストをかけてシステム開発するSIerよりも、すでにあるクラウドサービスを活用する方がコストを抑えることができるからです。

このように、システムはイチから開発する」という考えから「あるものを活用する」という考えに変化してきたことが、SIerに将来性がないと言われる原因のひとつです。

②優秀な人材が流れやすい

優秀な人材が流れやすくなっている現状も、将来性がない原因のひとつです。

優秀な人材が定着しない原因として過酷な仕事内容があります。

SIerはプログラミングの仕事というよりも、企業に対して有効なシステムを提案・導入するためのコンサルティングやマネジメントといった仕事内容の方が大きくなってしまいます。

そのため、顧客の希望変更などに振り回されて過重労働になってしまったり技術力が身に付けづらくなっています。

資料作りや簡単なコーディングなどの単調な仕事内容では将来に不安を抱えてしまう優秀な人材が多くなってしまいます。

③下請けが重労働になるビジネス構造

SIerの仕事は下請けになるほど重労働、つまりブラック企業になるため将来性がないと言われています。

なぜなら、下請け企業になればなるほど納期が厳しく給料が安い状況になるからです。

SIer業界は人材不足から多重請負構造が進んでいます。

多重請負構造とは、元請けが下請けに、下請けがさらに下請けに仕事を回していく構造のことです。

これにより、仕事に関わる人材(人件費)が多くなり、一人あたりに作業数(工数)をかけられない状況になります。

重労働で給料が安い業界は将来性がないと言われてもおかしくありません。

④年功序列体質が強い

SIer業界は年功序列体質が強いことから将来性がないと言われています。

なぜなら、能力ではなく勤続年数によって年収が決まる企業体質だと若い人材は働きにくいので、労働人口が減っていきます。

現状、SIer業界のビジネスモデルである多重請負構造では労働人口が大きな鍵になります。

労働人口が多ければ仕事を回すことができて、儲かったお金をベテラン社員に充てることができます。

しかし、これからの日本は労働人口が減っていきます。

現在のSIer業界のビジネスモデルは日本社会の構造的に将来性がないモデルです。

Slerが将来的になくならない理由4選

SIerは上述した「将来性がないと言われる理由4選」を踏まえても、なくなることはないと言えます。

これまでのSIerの需要と違う方向の変化があり、新たな需要が生まれます。

SIerが将来的になくならないと言えるのは以下の4つの理由があるからです。

キャリア先輩

ひとつずつ解説していきます。

①ITエンジニアの需要が高まっている

ITエンジニアの需要が高まっていることから、将来的にSIerの仕事がなくなる可能性は低いと言えます。

日本では現在もIT業界の人材が不足している状態で、将来的にもより深刻な状況になっていくと言われています。

経済産業省の調査では、2030年には最大43.8万人のIT人材が不足する見込みだそうです。(参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」表 3-6

そのため、企業のシステム構築や導入を請け負うSIerの需要は将来的にあります。

②大規模なクラウド化が難しい

規模が大きすぎるシステムはクラウド化が難しいです。

近年ではシステム開発をせずに、すでにあるクラウドサービスを活用するケースが多いため、既存システムをクラウド化する企業もあります。

しかし、大企業官公庁のような大規模システムは全てをクラウド化するのは難しいため、今後も既存システムのメンテナンスなどの仕事は残る可能性があります。

今後も大規模案件が継続的に発注があるため、将来的になくならないと言えます。

③コンサルティング事業が増える可能性がある

システム構築や導入などの仕事は一部減ってしまうかもしれませんが、コンサルティング業務が増える可能性があります。

なぜなら、顧客の状態が「システム開発をする」から「クラウドとシステムを活用する」に変わるからです。

これまでシステム構築や導入をしていたSIerは、顧客状態の変化によりクラウドとシステムを活用して顧客に価値提供する、コンサルティング事業が重要になります。

なので、顧客のクラウドとシステムを活用して業務改善アドバイスなどができるSIerは将来的になくならないと言えます。

④人材育成の仕組みが整っている

SIer業界は人材育成制度が整っています。多くの企業で研修制度があり、スキルの高いエンジニアを輩出しています。

研修では座学とOJTなどをおり混ぜることで、現場で問題なく業務を遂行できるような育成を行っています。

また、未経験からの新人研修はもちろん、役職に合わせた講座や研修を随時行っています。

育ったエンジニアは転職や独立することもありますが、SIer業界の人材育成の仕組みは一定の成果を出している証明になります。

Slerにおすすめのキャリア

ここまで読んでも、まだSIerの将来性に不安を抱いている方はいるのではないでしょうか。

そこで、ここからは不安払拭のためにSIerとしておすすめのキャリアを紹介します。

SIerにおすすめのキャリアは以下の3つです。

キャリア先輩

ひとつずつ解説していきます。

大手Sler企業に就職・転職する

SIer業界へ就職するならできるだけ大手SIerへの就職を目指すべきです。

多重請負構造のSIer業界では、下請けのSIer企業は過酷で将来性がありません

そのため、できるだけ元請けの大手SIer企業に就職した方がいいです。

大手SIer企業は人材育成の環境も整っているため、知識やスキルを身に付けやすいです。

しかし、メーカー系の場合は年功序列など古い文化が残っているケースもあるのでチェックしておくことが重要です

転職の場合は、自社開発をしているWeb系の企業に転職することをおすすめします

SIerと違いWeb系企業では、常にスキルアップできる環境があり年代層が若いので柔軟に働くことができます。また、実力や実績で評価されるので高いモチベーションで仕事に取り組めます。

転職をする際は、スキル向上や安定的な将来を見据えて企業を探すことが重要です。

副業でスキルと経験を積む

SIerとして働きながら、副業で開発系の案件を受注してスキルや経験を身につけることもおすすめです。

エージェントやクラウドソーシングサイトでは、副業で受注できる案件が豊富に紹介されています。

「ITプロパートナーズ」をはじめ「レバテックフリーランス」などのエージェントや、「クラウドワークス」「ランサーズ」などのクラウドソーシングサイトでも、絞り込み条件で「週2日〜」や「土日だけ」など指定することで副業案件を見つけられます。

また、ITエンジニアとして長く活躍したいなら専門スキルを押さえておく必要があります。

例えば、IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)に関するスキルが挙げられます。

IoTやAI技術は今後の暮らしや社会のありとあらゆるシーンで必要不可欠の技術となってくるので、将来必ず役立つスキルになります。

フリーランスで独立する

転職や副業で経験やスキルを身に付けて自信がついたらフリーランスとして独立するのもひとつの手段です。

フリーランスであればあなたのやりたい分野の案件を受託することができ、スキルアップしていくことが可能です。

また、良い案件に巡り合えれば、収入面も会社員時代よりも高くなる可能性があります。

将来的にフリーランスとして独立することを考えている方は「どんなエンジニアになりたいか」を想像して、必要な知識とスキルを身に付けていくことをおすすめします。

まとめ:Slerの将来性はあなた次第!価値を高める努力が必要

SIerの将来性はあなたの努力次第で「ある」にも「ない」にも変えることができます。

将来性が「ない」理由としては、クラウドサービスの普及業界の多重請負構造による低賃金・重労働年功序列などが挙げられますが、将来的なIT人材の高い需要見込み大規模なクラウド化SIerの需要の変化などを考慮すると、個人の努力次第でSIerとしての将来性は変えられます。

SIerとして価値を高めていきたい方は、転職や副業、独立を視野に入れてスキルと経験を積むことが大切です。

SIerの将来性に対する不安を払拭して積極的にあなたのキャリアを考えて行動しましょう。

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編集者1

杉田 陸 - キャリアクラス編集部

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新卒で福岡県のメーカー企業に入社し、営業とSNSマーケティングを経験。1年半後、本当にやりたいことを見つめ直し、未経験でWebマーケティング業界への転職を決意。2021年8月にウェブココル株式会社へ入社する。自身の第二新卒で転職を成功させた体験をもとに記事コンテンツの作成する。一般社団法人プロティアン・キャリア協会が行う『プロティアン・キャリア検定資格』に合格(合格証明)。
※プロティアンキャリア検定は、自身・他者のキャリア開発に活かせる、変化する新時代のための認定資格

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編集者2
千田 究太郎 - キャリアクラス編集部

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新卒でマーケティング支援会社に入社。その後、Web広告を扱う企業を中心に二度転職を経験したのち、ウェブココル株式会社に入社。自身の転職成功経験を踏まえて、主に第二新卒〜若手の転職情報に精通。最新の転職情報をお届けします。

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大島 大地 - ウェブココル株式会社取締役

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新卒で東証プライム上場メーカーへ入社。その後上場企業傘下のWebメディア企業へ転職し、ウェブココル株式会社の取締役へ就任。採用の全責任者として、年間100名近くの採用選考を実施し、社員0名→25名へグロース。自社において幅広いなリクルーティングサービスを利用し、多くのサービスに精通。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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執筆者情報

キャリアクラス編集部のメンバーは全員転職経験者で構成されています。また、転職サービスを複数利用して転職活動を成功させたメンバーです。キャリアに悩んだ経験のある我々だからこそ発信できるキャリアの情報をお届けします。

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